広島高等裁判所松江支部 昭和60年(う)24号 判決
本件は,被告人が,昭和58年4月10日施行の鳥取県議会議員選挙に際し,倉吉市選挙区から立候補した村田実に当選を得させる目的のもとに,いまだ同人の立候補届出のない同年2月下旬ころ,同選挙区の選挙運動者である齋江博行から前記候補者のため投票並びに投票取りまとめ等の選挙運動をすることの報酬として供与されるものであることの情を知りながら現金21万円の供与を受け,更にそのうち18万5,000円を木天秀夫ほか6名に各供与したという悪質な現金買収事犯であること,選挙の公正は民主政治の基本であり,選挙犯罪就中買収事犯は選挙の自由公正を侵害する点においてもつとも厳しい非難に値するところ,被告人は後援会の地域責任者として,前記のとおり供与を受けた本件現金の一部をその地域内の7名に分配供与し,その積極的な買収行為により同人らをも犯罪に巻き込むなど犯情は重く,かつ被告人より犯情が軽いと認められる前記受供与者らが,いずれも罰金刑ながら,公民権の停止期間を5年ないし3年間として処断されていること等を勘案すると,被告人に対し,懲役10月に処したうえ,刑の執行猶予期間を2年とし,ひいて公民権停止期間を2年間に短縮した原判決の量刑は,執行猶予期間を2年とした点において軽きに失して不当であると言わざるを得ない。